彼の手が自分の腰から股の間に入ろうとする。
必死でそれを退けようとしても、もう片方の手で別の場所に侵入しようとする。
未来 :Aくんやめよ、僕はそういうつもりじゃなかったんだ
Aくん:僕が未来を悲しみから救ってあげる、僕はキミの大事な友達だから
未来 :そうだけど、でもこんなの変だよ
Aくん:何もおかしくなんてないよ、キミもこうなる事を望んでいたんじゃないのかい?
未来 :望んでないよ、僕ただAくんのそばにいてあげたかっただけだよ
Aくん:そう、キミは僕の事を救ってくれた、だから僕もキミを救ってあげたいんだ
未来 :でも、これは違うよ
Aくん:何が違うの?キミがあのサイトに来て僕と出会ってから、本当はキミはこれを望んでいたはずだよ?
一瞬ドキッとした。
確かに彼女と別れて絶望の縁に立たされ、誰かと話したくてあのチャットにたどり着いた。
それは別に同性愛の人たちじゃなくてもよかったはず、たまたまとは言えあのサイトにたどり着き、
そこにいた人たちに共感し、救われ、それを求めた。
なぜ?
本当はこうなる事を望んでいたから?
こうなる事を望んでいると言う事に嘘をついていただけ?
ただそれを、認めたくないだけ?
ただ自分が変わってしまうのが怖いだけ?
Aくん:自分が今まで見た事ない世界に行くのは勇気がいる事かもしれないけど、僕が未来を連れて行ってあげる。
未来 :でも、怖いよ
Aくん:怖くないよ、自分に正直になる事は気持ちの良い事だし、ほんの少しの勇気でそれを感じられる
未来 :なんで僕なの?
Aくん:ネットで話していた時から分かってた、そして実際にあって僕は確信した
未来 :なにを確信したの?
"キミは僕に似ている"
Aくんがその時何を言っているのか分からなかった。
Aくんとはこんなに容姿が違うし、Aくんの足下にも及ばないと思った。
彼には気の毒だけど、自分の家族に過去に酷い事をされた事もないし、今日まで普通に平凡に生きてきた。
いままで同性の人と何か一線を超える様な経験なんて一度だってなければ興味を持った事さえない。
ただ悲しみに暮れていたあの時に、たまたま出逢った人たちに救われ、その人達が自分とは違う世界の人と言う事だけだった。
未来 :でも、僕はこんなの望んでないよ
Aくん:それは頭で考えているからだよ、キミの心はもうそれを望んでいるはずだよ
未来 :そんなこと・・・だって僕はいままでそういうのを望んだ事はないし、そうしたいと思った事もない
Aくん:そう、だからいま変わる時なんだよ、その為に僕がいまキミの隣にいるんだ
言葉巧みに自分の心の隙間に入って来るのがわかる。
自分でももうその時何が本当で何がそうじゃないのかが分からなくなっていた。
そして、さっきまで必死で彼の侵入を防ごうとしていた手の力も、少しずつ弱まっていくのが分かった。
それは自分の意思とは関係なく、まるで催眠術をかけられているかの様に力が抜けていった。
すると急にAくんは、自分が着ていたローブを脱いだ。
月明かりと街の光に照らされたAくんの裸体は幻想的で美しかった。
ベッドに横たわりながら、まるで挑発しているかのような眼差しで僕を見つめている。
そして何か彼の裸体に違和感を感じると思った瞬間、彼の首から下の毛はすべて存在しない事に気がつく。
まるで女性の様にすべてのムダ毛が処理され、陰毛までもが一本残らず無くなっていた。
それに気がついた瞬間、すでに”それ”が盛り立っていた事に気がつく。
思わず目を背けた瞬間にAくんは言った。
Aくん:もう未来もわかっただろ?キミがこれを望んでるんだって
未来 :わからないよ・・・まだ何も
Aくん:頭で理解して欲しいなんて思ってない、僕はキミに"感じて"ほしいんだ
未来 :何を感じるっていうの?
Aくん:キミが素直になる事、受け入れる事、自分の心に嘘をつかない事、すべてだよ
そう言うとAくんは僕の手をとって自分の心臓に手を当てた。
Aくん:感じるだろ、心臓の鼓動を
未来 :うん、しずかに脈打ってる
Aくん:そう、僕は何も嘘なんかついてないし、隠してもいない、未来は?
未来 :何も隠してないよ
Aくん:いや、キミはまだ隠している、自分の本当の心を
僕にはAくんが言っている事が難しすぎて良く分からなかった。
でもAくんの言葉が少しずつ自分の中に染み渡り、支配されていくのが分かった。
それは決して乱暴なものではなく、自分の欲望のままにしたいという悪意のあるものでもないと言う事は自然に感じた。
何が目的なのかはわからなかったが、自分のこころに素直になる事をAくんは僕に望んでいる。
何が素直で何がそうじゃないのかは全く分からなかったが、それだけを自分に要求している。
するとAくんは、ベッドの脇にある小さな机の引き出しから2つの大きいリボンのようなものを出した。
その柔らかくて優しく滑らかな生地で出来たリボンで自分の視界を覆った。
なぜか全く恐怖も感じず、抵抗する事さえしなかった。
ただAくんのする事に身体が従っていた、頭ではもう何も考ず、真っ白の世界になった。
Aくん:これからキミは生まれ変わる、今までの世界を見えなくして、こころだけで生まれ変わるのを感じるんだ。
未来 :生まれ変わる・・・
Aくん:そう、次に見るのは、きっとキミの望んだ新しい世界、今よりずっと心地の良い世界
そういうとAくんはもう一つのリボンで、今度は僕の両腕をやさしく縛った。
滑らかな生地のため、痛みは全く感じなかった。
ただ目の前にはAくんの気配と光だけを感じた、まるで卵の中から外の世界を覗くかの様だった。
不安とも期待とも言えない複雑な気持ちを微かに感じたが、それもすぐに泡の様に消えた。
両腕を縛り終えると、僕の首に手を回し、ゆっくりとベッドに仰向けに寝かせた。
何も感じないはずなのに、微かに身体が震えているのがわかる。
Aくん:さあ、準備はいいかい?今日から未来は生まれ変わるんだ
そして
キミの新しい未来が、ここから始まる
つづく
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