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はじまり

とある日の事。
僕は2年間付き合った彼女と別れ、悲しみにくれていた。

寂しさを紛らわすために友人からの慰め飲みの誘いをすべて受け、連日酒に溺れた。

「また良い出会いがあるよ」「結果として別れてよかったよ」「今度お前が好きそうな子紹介するよ」

友人の言葉は嬉しかったし、その時だけは悲しみを忘れる事は出来た。

でも、家に帰れば一人、忘れようとしても走馬灯の様に彼女との思い出が頭をよぎる。
初めて付き合った時の事、一緒に出かけた時の事、お互いを感じ合った時の事、誰もが経験する甘酸っぱい過去の思い出になる事も、その時の僕にはこの世の終わりに匹敵するほどの苦痛だった。



寂しくて切ない、考えない様にしてもやはり彼女の笑顔だけが目に浮かぶ。



そんな寂しさを紛らわせる為に、一人家でインターネットで話し相手を探した。

最初は普通の匿名チャットで数人とチャットで話をしていた。
自分が失恋した事をチャットに書き込み、皆僕に同情し、別れた原因や思い出話を聞いてくれた。
僕を肯定する人、否定する人、皆それぞれ考えがあったけど、誰が正しいとか間違っているとかではなく、ただ僕の話を聞いてくれていることが嬉しかった。

そんなチャットをいくつか渡り歩いている中で、一つのチャットに辿り着いた。


それは、同性愛の人たち専用のチャット。


自分自身は同性を恋愛対象としてみる事は一度もなければ、同性の裸体に淫猥な気持ちを感じる事もなく、自分の理解とは全く別次元の人たちだと思っていた。

ただその時は誰でも良いから話がしたかった。
寂しさを紛らわすためというのもあったけど、恋愛対象は違えど同性同士としての気持ちを理解して貰えると思った。
女性も同じ人間だけど、性別が違うと男性との根本的な価値観が違い、それを分かり合える事は出来ないと思っていた。


そんな気持ちで同性愛の方専用チャットに足を踏み入れた。
もう決して女性を愛さないとか、自分がその道に進もうとかを考えていた訳では一切なかった。


実際に話をしてみると、たまたまだったのかもしれないがすごく好感の持てる人たちでチャットが賑わっていた。
元々は異性が好きだったけどこちらの世界に来た人や、始めから同性が好きだった人とまちまちではあったが、同性者同士考え方で共感する事が多く、さらに日本では以前よりは良くなってきたとは言え、まだまだ同性愛に偏見がある世間からの冷たい眼差しに対する免疫からか、普通の人以上に広い視野で物事を考え、本質的で大人な考えを持っている様に感じた。

そしていつの間にか、僕はそのチャットで彼等と話をするのが楽しみになっていた。
気兼ねなく話をする事が出来、僕の辛い気持ちを理解し、その時聞きたい言葉を彼等は知っていた。
気がつけば彼等と話をする事は、毎日の日課になっていた。

そのチャットで毎日話をするうちに、一人の人と仲良くなった。
彼(以下Aくん)はいつもチャットがお開きになる頃に「一人で大丈夫?辛かったらもっと一緒にお話しよ」とつぶやき機能を使って僕を誘ってくれたり、毎日メールをくれたりした。

Aくんとのチャットは最初は僕の失恋話だったが、時間が経つにつれてそれも少しずつ減り、自分の事やAくんの事をはなし、趣味の話や将来の事など沢山の事を話した。

Aくんの事を知れば知る程、彼は良い人で純粋な人だった。
年齢も近く、いつの間にかお互いに何でも話せる仲になり、ネットと言うフィルタを通してもこんなに良い友達が出来るのだと自分でも驚いていた。
Aくんも同じ事を思っていたらしく、僕らは毎日メールをし、チャットで話した。


そんなある日の休日、いつもより早い時間にAくんとチャットで話をしていた時の事。


Aくん:今日って未来は何してるの?
未来 :何も、洗濯と掃除くらいかな。
Aくん:そうなんだ
未来 :なんで?
Aくん:・・・
未来 :・・・?




Aくん:もしよかったらさ、会わない?僕と
未来 :・・・え?


Aくんとは数ヶ月に渡って毎日チャットとメールで話をしていたけど、実際に会うと言う話になった事はなかった。
あくまでネットの世界での友達であり、いつの間にか現実とは全く別で考えていたのかもしれないとその時思ったが、Aくんはネットの世界の自分ではなく、実際の僕を本当に友達だと思ってくれていたのだとその時改めて感じた。


少し考えた後、僕は決心した。


未来 :そうだね、会おっか!
Aくん:ホントに!?うん会おう!!


お互いに近くに住んでいる事は知っていたが、具体的にどこに住んでいるかは知らなかった。
実際に会う事になり、自分達が住んでいる所から1時間以内に住んでいる事が分かり、何故か笑みがこぼれた。


気持ちの焦りからか、Aくんとの待ち合わせ場所に15分早く着いた。

まだAくんは到着していない。

待ち合わせ場所にはあまり人もおらず、Aくんは青い手提げバックを持っていると言っていたのですぐに分かるはずだった。
携帯電話の番号も会う約束をした時に交換したので、わからなければ電話が来るはず。

Aくんを待っている間、彼に会えるという嬉しさもあったが、今まで感じた事のない緊張感と不安感があった。
彼を待つ1分間が何時間にも思え、彼に会えて嬉しいはずなのに、何故か後悔の念もあった。

彼とはネットでしか話した事がない、顔を見た事もなければ声を聞いた事もない。


実際に会って嫌われてしまったらどうしよう。


そんな事を考えていたらまた一人で失恋の悲しみにくれる辛い日々が頭をよぎった。
彼が僕に何を期待しているのか全く分からない、全然イメージと違うかもしれない、明日からもう話してくれなくなるかもしれない。



また一人になりたくない、そう思っていたんだと思う。



時計をみたら、待ち合わせ予定時間を10分過ぎていた。
待たされる事は苦ではなかったが、変な不安を少し感じていた。
もしかしたら来てくれないんじゃないか、急に来れなくなったんじゃないか、色々頭をよぎった。




「未来?」




ハッと自分に気がつき、俯いていた頭をあげた。


そこには、約束通り青い手提げバックをもって、オシャレなカジュアル服を着た白くて細身のキレイな顔立ちの子が笑顔でこちらを見ていた。

身長は僕と同じくらい、カジュアルスーツとシャツを着て、濃い色のジーンズと革靴を履いていた。
髪は長めでオシャレにセットしてあり、少し茶色身がかっていて、一瞬ハーフ?と思える程すこし日本人離れした女性的な美しさのある人だった。


Aくん:ごめんね、準備に少し手間取って、電車も少し遅れてたから間に合わなかった・・・
未来 :ううん全然、初めましてだね。
Aくん:こちらこそ初めまして!やっと会えたね。


彼の笑顔はすごくステキだった。
第一印象は明るく、清潔感があって爽やかだった。
ジャニーズやビジュアル系などの中性的な人が好きな女性であればたまらないだろうなと思った。
カッコいいと言うよりも、美しいと言った方が彼には合っていた。

Aくん:じゃあ行こっか!僕ここから少し行った所に美味しいピザを出してくれるお店があっ
    て、そこに未来を連れて行きたいんだ。
未来 :うんいいよ、行こう!


彼は満面の笑顔でこっちだよと言わんばかりに手招きをし、僕はそれに少し笑いながら着いて行った。
待ち合わせ場所から7〜8分程歩いた所に、駅近くの人の多い繁華街とはうってかわって、裏道を入った静かな場所にそれはあった。

Aくん:ここのマルゲリータすごく美味しいんだよ!ワインも美味しいんだ!
未来 :楽しみだね!

その彼の無邪気なその笑顔は、彼が本当に僕と会えた事を嬉しく思ってくれていると素直に感じた。
さっきまで不安に思っていたのが嘘の様に消え去り、自分も彼と会えた事を喜んでいた。
チャットではAくんの声や表情は分からなかったけど、彼の話し方や笑顔を見て本当に彼だと思った。
チャットでの文字だけのコミュニケーションでも実際に会ってでも、彼だと分かる不思議な物を彼から感じた。
運命とかは信じないけど、これから起こる事のきっかけとなった彼との出逢に少し運命を感じた。



つづく

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プロフィール

未来

Author:未来
性別:Male
種別:M奴隷(現在は主人がいないので過去形)
年齢:20代後半

とあるきっかけからこの世界を知ったのが始まり。
その後Webで知り合った人がきっかけで2人の主人から奴隷調教を受ける事になり、その主人等からそれぞれ2年ずつ奴隷になる為の調教を受けた4年間に渡る日記です。

【ご注意】
当ブログは同性者(男性同士)との性的行為に関する内容が多く含まれます。
異性間でのものではないので、同性間での性的行為に理解のない方はご遠慮ください。
何か質問や問合せ、ご要望などあればメールフォームからお願いします。

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