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運命の歯車

Aくん:それからは未来も想像出来ると思うけど、僕は完全な奴隷として彼に従い続けた。
未来 :でも、なんでそうしなきゃいけなかったの?
Aくん:もうどうにも出来なかった、心も身体も、いつの間にか完全に支配されていたんだね。
未来 :誰にも相談出来ず、信じていた家族にも裏切られて、Aくんはずっと一人そんなのに耐えてたなんて。。。
Aくん:受け入れるしかなかった。これで分かったかい?僕は”選べなかった”んだ。


返す言葉が見つからなかった。
いけないと分かっていても、まるで麻薬のようにまたそれを求めてしまう。
歪んだ欲望のはけ口になる事に快感を得てしまう。
この美しい人がこんな忌まわしい過去を持っているなんて、さっきまではまるで想像も出来なかった。
義父以外の欲にまみれた男達にも従い続け、犯され、弄ばれ、そしてまた犯される、そんな日々をずっと過ごしてきた・・・・


映画やドラマだけの世界だと心の中で僕は思っていた。
でも、現に目の前にいる美しい青年は、その忌まわしい過去を持ちながら今日も僕の目の前で生きている。


それからAくんは学校卒業までその生活は続いたが、学校卒業と同時に家を出て、それからは家族とは一度も話していないという。
連絡先も行き先もなにも伝えず、半ば家出のような状態で家を飛び出した。
その時はそれ以上家族の事を話さなかったが、自分からその事をそれ以上聞く事もなかった。
ただ誰も自分を知らない土地に行き、全く別の人生を歩もうとしたのだと思った。


Aくん:この話を聞いて、未来は僕の事をどう思う?
未来 :どう・・・って?
Aくん:僕を汚らわしい人間だと思うかい?
未来 :そんな事思わないよ!むしろ・・・
Aくん:むしろ?
未来 :むしろ・・・生きててくれてありがとう。
Aくん:・・・
未来 :今日まで生きて、僕と友達になってくれてありがとう。
Aくん:・・・・キミは、本当に変わった子だね。
未来 :・・・そうかな?
Aくん:でも、やっぱり未来に本当の事を話せてよかった。
未来 :少しは僕もAくんの役に立てたのかな?
Aくん:もちろん、これからもっともっと仲良くなってくれれば、僕もすごく嬉しいよ。
未来 :もちろんだよ!


そういうとAくんは小さいボトルのシャンパンを頼んだ。
すぐにシャンパングラス2つとシャンパンクーラーに入ったシャンパンが運ばれてきた。
ポンっ!という抜けのいい音が店内に響き、炭酸の爽やかな音を聞きながらグラスに注がれるシャンパンを見つめる。
シャンパンが2人に注がれると、それをもってAくんが言う。


Aくん:これからの2人に、乾杯
未来 :うん、乾杯


喉に爽やかな爽快感を感じさせながらシャンパンが全身に染み渡るのを感じる。
ついさっきまでは息をしているのかも分からない程話に集中していたのか、喉が乾ききっていた。
それでも、彼を少しでも理解する事が出来、そして少しでも彼の救いになれた事が嬉しかった。
その友情の証のシャンパンは、いままで味わった事のない程の格別な味がした。


Aくん:ところで、終電は大丈夫かい?
未来 :え?今何時?
Aくん:もう12時になるね
未来 :え!?


急いで電車の終電を調べた。
あと5分で最終電車が出てしまう事に気がつく。


未来 :ごめん!僕もう行かなきゃ!
Aくん:ごめんね、僕の話が長過ぎた
未来 :ううんそんな事ないよ、僕の方こそゴメン
Aくん:また、会えるよね?
未来 :もちろん!また連絡するね!


そう言ってお金を払おうとすると、Aくんは自分はまだもう少しここにいるから大丈夫とだけ言って、早く駅に向かう様に僕に言った。
次回は必ずと言って店を飛び出し、駅に向かった。

Barを出たその時、どこかあのBarは現実離れしていたような気がした。
店から出た時の町の風景を見た瞬間、まるで不思議の国から帰ってきたかの様な感覚を覚えた。
今日話された事も本当はすべて幻だったんじゃないか、Aくんは本当はいなくて、すべて夢だったんじゃないか、そんな事を思いながら酔いが回っている身体をなんとかコントロールして駅に向かって走る。


駅に着くと、もう最終電車がホームにいるのが分かった。
急いで改札口に入ろうするが、大勢の降人で前に進む事が出来ず、ついに電車に最終電車に乗る事が出来なかった。


どうしよう。。。ここからタクシーで帰るのはいくらなんでも遠すぎる。
漫画喫茶で朝まで過ごすかファミレスで始発を待つかと酔いが回ってちゃんと働かない頭の中で考えを巡らせていた。




そういえば、まだあの不思議な国にAくんはいるのだろうか。




ふと思い出すと、勝手に足はそちらに向いていた。
ゆらゆら動く世界が、またあの不思議な国に誘われている様に感じた。


またあの小さな階段の前についた。
まるでこれからまたあのうさぎの穴に堕ちて不思議の国に足を踏み入れようとしている何処かで聞いた物語の主人公の様だと心の中で思った。



階段をおりて、またあの小さなドアの前にたどり着いた。
ドアを開けると、さっきと同じ暗くて落ち着いた雰囲気が漂う空間がそこにあった。
さっきまでいたカップルらしき人たちはすでにそこにはおらず。カウンターには誰もいなかった。


もう店は終わってしまったのだろうか。
まだあれからそこまで時間は経っていない気もするが、かなり経ってしまった気もする。


半分諦めながらさっきまでAくんと一緒にいたテーブルに行くと、そこにはあの美しいAくんの姿はなかった。


やはりもう帰ってしまったのだろうか。
さっきまでその美しい青年がいたテーブルには、飲みかけのシャンパングラスが一つ置かれていた。
自分の分のグラスはもう下げられてしまっているようだった。





「未来?」





夕方待ち合わせた時と同じ様なシチュエーションだった。
その声が聞こえた瞬間後ろを振り向くと、そこにはあの美しいAくんが少し驚いた顔をしてそこに立っていた。


Aくん:どうしたの?何か忘れ物?
未来 :いや、その・・・終電に間に合わなかったんだ

Aくんは少し笑って僕に席を進めた。
僕は少し照れながらAくんが進めてくれた椅子に腰を下ろす。

Aくん:ごめんね、僕のせいで間に合わなかったんだね。
未来 :ううん、僕も時間をちゃんと見てなかったから。
Aくん:でもね、本当は未来が帰ってきてくれて嬉しかったんだ。

そう言うとAくんはまるで恋人を見る様な目で僕に微笑んだ。
その笑顔に急にまたドキッとしてしまったのを覚えている。

未来 :Aくんはどうするつもりだったの?
Aくん:僕はここでもう少し休んでから考えようと思ってた。
未来 :Aくんの家もここからだと遠いでしょ?
Aくん:まあ遠いけど、いつも朝までいたりするからね。
未来 :そうなんだ、Aくんってお酒強いんだね

Aくんは少し笑うと、バーテンダーにモヒートを2つ注文した。
ミントの葉が爽やかで、お酒と言う事を忘れてしまう程飲み易いカクテルだった。

Aくん:ねえ、未来は明日は何してるの?
未来 :特に何も。今日も本当はAくんが誘ってくれなかったら何も予定なんてなかったしね。
Aくん:もう電車もなくなってしまったし、もしよかったら家にこない?

急に心臓が高鳴るのを感じた。
何かを期待していた訳ではないが、さっきの話を聞いた後にこの美しい人の家に行くと言う事をまったく想定していなかった。

しかし、それと同時に少し興味が湧いた。
そんな忌まわしい過去を経験した彼は、一体どんな生活をしているのだろう。
学校卒業と同時に自立した彼は、今は何をしているのだろう。
様々な興味が自分の中の知的欲求をくすぐるのが分かった。

未来 :え?でも急にそんなお邪魔するなんて
Aくん:僕の家じゃ嫌かい?
未来 :いや、そうじゃないんだけど、今日会ったばかりの人なのに急に失礼かなって
Aくん:もう未来は僕の事を沢山知ってるじゃない、今更そんな気の使い方は無用だよ。


少し考えた後、じゃあお邪魔して良いかと聞くと、彼はまた笑顔で僕に微笑んだ。
すぐにお会計を済ませると、その不思議の国を後にした。


Aくんと会った時とは全く違う景色。
闇をネオンが照らす世界。
ゆらゆらゆれる世界を抜けて、タクシー乗り場まで進む。




そしてこの時、運命の歯車がまわりだした事を、僕はまだ知らなかった。




つづく


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プロフィール

未来

Author:未来
性別:Male
種別:M奴隷(現在は主人がいないので過去形)
年齢:20代後半

とあるきっかけからこの世界を知ったのが始まり。
その後Webで知り合った人がきっかけで2人の主人から奴隷調教を受ける事になり、その主人等からそれぞれ2年ずつ奴隷になる為の調教を受けた4年間に渡る日記です。

【ご注意】
当ブログは同性者(男性同士)との性的行為に関する内容が多く含まれます。
異性間でのものではないので、同性間での性的行為に理解のない方はご遠慮ください。
何か質問や問合せ、ご要望などあればメールフォームからお願いします。

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