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守りたいものの為に

Aくんと僕は一杯目のカクテルを飲み終わり、また別のカクテルを注文した。
静かな店内にカクテルをシェイクする音が響き渡り、しばらくするとそれはやんだ。
新しいコースターがテーブルにおかれ、新しいカクテルと小さい器に入ったドライフルーツが運ばれてきた。

ウェイターがその場を去ると同時にAくんはカクテルを口に運び、ドライフルーツを一口食べてから話し始めた。


Aくん:僕はあの日、ベットに縛り付けられて、いつもとはまるで違う義父の姿をみた。
動けなくて、何が起こっているのか分からず不安で、思わず母の名を口にした。

僕は小さく頷いた。

Aくん;父は足下にあるバックから何かを色々と取り出し、準備を始めた。
未来 :何の準備?
Aくん:僕を・・・"自分の物にする”準備だよ。

僕はまた少し緊張に似た鼓動の高鳴りを感じた。
焦りの様な、緊張の様な、何かすごく胸が締め付けられる様な感覚を覚えた。



そして彼は,その日に起こったすべての事を話し始めた。



最初にバックから取り出したものは大量のローション。
大量に自分の全身に塗りたくり、Aくんの身体にも満遍なくローションを塗った。


次にバッグから口枷を取り出し、恐怖で震える彼にそれを装着し、さらに目隠しをして完全に視界を奪う。


それですべての準備は整った。


Aくん:そして、いよいよ義父は自分の歪んだ欲求を僕にすべて注ぎ始めたんだ。

僕はまた小さく頷いた。

まず義父は、ローションでぬるぬるした彼の全身を手で滑らせながら彼を手で感じた。
「毛がまだ全く生えてないんだな」「肌がすべすべで気持ちが良い」「こんな上物を頂けるなんて幸せ者だ」

時々義父の独り言が何も見えない世界から聞こえてくる。
何が起きているのか分からず、怖くて、気持ち悪くて、不安でいっぱいだったと彼は話す。

そしてしばらくすると、急に繋がれた両足を大きく開かれるのが分かった。
義父の両手が自分の膝にそれぞれあてられて、ギリギリまで大きく足を開かれた。
何が起こるのか不安と恐怖しか感じない中で、自分の股間に大きな気配と暖かい風を感じた。

そして次の瞬間、自分のペニスが何かに吸い込まれるのが分かった。
口枷をされているせいで声を出す事も出来ず、ただもがく事しか出来なかった。

何も見えない真っ暗な世界の中で、自分の股間からじゅるじゅると音が聞こえる。
自分のペニスが何か生暖かい物の中で蠢く何かにもてあそばれているのがわかる。
真っ暗な闇の世界に響く”じゅるじゅる””ぴちゃぴちゃ”と言う気味の悪い音、もてあそばれいる自分のペニスから感じる疼きの様な感覚、永遠の様に感じる時間、ただただそれが終わるのを待つしかなかった。

「どうだ気持ちいいだろう?これはフェラチオと言うんだぞ、覚えておきなさい」

奇妙な音が終わった後に義父の声が聞こえた。
じんじんする自分の股間に何が起こったのか確認する事も出来ず、ただそれを聞く事しか出来なかった。

「次はお前の番だぞ」

そう言うと急に下半身に冷たくてドロッとした物がかけられるのを感じた。
またあのローションを大量にかけられたのだと分かった。

すると今度は両足首の縄をほどき、冷たい金属のような物で両足を固定された。
その直後、固定された両足を掴み、その両足が真上を向いた瞬間、自分の股と股の間に硬くて太くてドクドクと脈打つものが差し込まれた。

「お前の肌はまだ若くてきめ細かいからな、いきなり後ろは無理だろうから、今日は素股で勘弁してやるよ」

そう言うと、その太くて硬いものが、自分の股の間でなんどもこすれるのを感じた。
義父のどんどん荒くなっていく息と、どんどんスピードを増して摩擦で股の間に感じる熱、そして”にちゃにちゃ””くちゅくちゅ”と言う音だけが聞こえる。

何をしているのか全く分からない、そう思った次の瞬間、義父の大きなうめき声の様な声と同時に、急に股の間に感じていた太いものが引き抜かれたのが分かった。
そして自分の顔と口辺りに、生暖かくて今まで嗅いだ事の無い臭いのする、ぬるぬるした物がかかったのを感じた。

「これからお前の大好物になるものだ」

その言葉が聞こえた瞬間、口を塞がれている口枷に装着されている穴の空いたボールの間から、ドロドロとした生臭いものが入ってきた。
あまりの気持ち悪さに吐き出そうとしても吐き出す事も出来ない。
それはそのまま喉を通過し、喉に絡み付く様な不快感と吐き気を催した。



そしてその日、それらは何度も繰り返され、父親の欲望のままにそれを受け止め続けた。




外がぼんやり明るくなってきた頃、両手両足の拘束を解いて義父は言った。

「この事は決してお母さんには言うなよ、言えばお前が辛い思いをするだけだからな」

それからしばらく、あまりのショックで放心状態だった。
気付くともう部屋には義父の姿はなかった。


Aくん:そして次の日の朝、義父はいつもと同じ様に接してきたよ
未来 :何もなかったかのように?
Aくん:うん・・・僕も何も言えなくて、悪い夢だったんだ、早く忘れた方がいいんだって思う事にしたんだ。

僕は何も言えなかった。
まだ何も分からない小学生の小さな少年が、自分の大好きだった、しかも同性の義父からこんな酷い事をされるなんてまだ信じられなかった。

Aくん:そして数日後、その悪夢の続きが始まったんだ。
未来 :それで終わらなかったの?
Aくん:あれはただの序章に過ぎないよ。

義父は彼が何も言わず、たまに帰って来る母親にも告げ口しない事をいいことに、この日を境に彼の身体を求める様になった。
3回目の時にはついに義父の男根を彼の中に受け入れる事を強いられた。
背筋に電気が走る様な苦痛と苦しさ、頭が真っ白になり、腰がくだけそうな程苦痛だった。

日を追う毎に義父は所構わず彼を求める様になり、彼はただその言いなりになるしかなかった。
義父の要求は日に日にエスカレートし、誰にも相談出来ないまま、ただそれに従い続けた。
初めてのアナルプレイを経験したその日から毎日アナルプラグの装着を義務づけられ、アナルの拡張を強いられた。
義父の食事中は弟がいない時はテーブルの下でフェラチオで奉仕、風呂の中でもトイレの中でも、所構わず性行為を強要され続けた。
決して求められる事を望んでいた訳ではなく、求められる度にどうしたら早く終わるのかだけを考えた。


恐らく義父は、こういう事をされても平気な子だと勘違いしてたんだろうと彼は言った。


Aくん:このままだといつか大好きな母と弟にバレてしまう、でもどうしたらやめてくれるのか分からなかった。
未来 :なんでお母さんに相談しなかったの?
Aくん:出来る訳ないよ、頑張って仕事をして僕らの事を愛してくれて、そして何よりも女として義父を愛していた。それを僕が壊すなんて出来ないよ。
未来 :弟さんにはバレなかったの?
Aくん:変だとは感じていたかもしれないけど、僕も義父も白を切り通した。義父は弟には全く興味がなかったみたいだから、それはせめてもの救いだった。


幼いAくんはそんな事を一人で考え、背負っていたのかと思った。
義父にひどい事をされている、それを警察や児童相談所に言う事も出来た、母親に言う事も出来た。
でもそれは同時に家庭の崩壊を意味し、何よりも世界で一番大好きな弟の家族の幸せと母親の女としての幸せの両方を奪う事になる事を意味していた。

だから母親と弟には絶対にバレてほしくない、母親と弟の幸せの為と思えばどんな事だって耐えられる。
まだ幼い少年はそう考えながらすべてを自分が背負い込み、日々エスカレートしていく義父の要求に従い続けた。



Aくん:でも、もっと残酷な裏切りが僕を待っていたんだ。



つづく

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決意

”小学校5年生の頃から高校を卒業するまでの間、ずっと義理の父親に性的虐待を受けていたんだ”

Aくんのその言葉から長い沈黙が続いた。
何かのテレビ番組等では聞いた事のある類の話ではあったが、実際にそれを経験した人を目の前にするのは初めてだった。
自分がその話を聞いた時にどんな顔をしていたのかは分からない。

Aくん:驚いた?

Aくんからその沈黙は破られた。

未来 :えっ?・・・うん・・・
Aくん:そうだよね・・・汚らしいよね、僕・・・
未来 :そんな事ないよ、だってどうする事も出来なかったんでしょ?
Aくん:そうだね・・・
未来 :じゃあAくんは汚らわしくなんてないよ

Aくんは黙っていた。
さっきまでの手の震えはおさまっているようだったが、虚ろな目をしてワイングラスの中のワインをゆっくりまわしながら、何か遠い記憶を見ている様な感じだった。


そして、またゆっくりAくんは話し始めた。


Aくん:こんな事、誰にも言えないよね。だから、未来が話を聞いてくれるって言ってくれた時は嬉しかったんだ。
未来 :ごめんね、そんなに大変な話だなんて知らなかったから、辛い事思い出させちゃったね・・・
Aくん:そうじゃないよ、僕が未来に聞いてほしかったんだ、未来だったら・・・分かってくれるんじゃないかって・・・


その時ハッと思った。
僕が失恋で悲しみのどん底にいる時と同じ様に、そこから助けてもらいたいと言う期待を彼も僕に抱いているのではと思った。

でも、自分の人生の中でも初めて聞く信じられない話。
他の友人から色々な相談を受けた事はあるが、この手の話はいままでに一度もない。
どんな顔をして、どんな話をして彼と接すれば良いのか検討もつかなかった。


でも、彼は自分に助けを求めている、そんな気がした。


Aくん:ごめんねこんな話して、ビックリしたよね。

作り笑いをしながらAくんはまたワイングラスを手に取り、ワインを一気に飲み干し、ワインボトルに入った最後のワインを均等にそれぞれのグラスに注ぎ入れた。

そしてまた沈黙の時が流れる。
僕はグラスに注がれたワインを一口のみ、彼にどう言う言葉をかければ良いか必至で考えた。

未来 :Aくんは、何故その話を僕にしたの?
Aくん:さっきも言った通り、未来だったら僕の事を分かってくれるんじゃないかって思ったから。
未来 :分かってあげたいけど、僕にはそのAくんの辛い過去にどう接してあげれば良いか分からない・・・

正直に答えた。
彼が自分の過去をどう考えているのか分からなかったが、彼の過去を僕が変えてあげられるわけじゃない。
どうすればいいのか、Aくんが僕に何を求めているのか、何をしたら彼の求める期待に応えてあげられるのか、ただそれが知りたかった。

そして、Aくんは少し微笑みながら言った。

Aくん:未来に僕のすべてを話したいんだ、それを聞いてくれるだけで僕は嬉しいし、救われる気がする。
未来 :・・・うん、わかった。僕でよければ。
Aくん:場所変えようか?

そう言うとAくんは近くの服掛けに掛けてあった自分のジャケットを取り、バックを持って店の入り口に歩いて行った。
自分も慌てて準備をしてAくんのそばに行くと、Aくんはすでにクレジットカードでお会計を済ませ、サインをしていた。
僕も払うよとAくんに伝えたが、Aくんは左手の人差し指を立てて僕に横顔で微笑んだ。

店の外に出て分かったが、僕はかなり酔っていた、ワインボトル2本もあければ当然かと思った。
そして、先に歩いて行ったAくんに少しふらつく足で後ろからついて行った。

ここにくるまでは隣同士で話しながら歩いてきたのに、今度はAくんは僕の前を歩いて一言も話さなかった。
そんなAくんに、僕も黙ってついて行った。

しばらく行くと路地裏に入り、数十メートルいった所に一人しか通れないくらいの幅の地下に通じる階段の前についた。
Aくんは何も言わずその階段をおりて行き、僕もその後に続いた。

階段を下りきった所に扉があり、それを開けるとそこはバーだった。
入り口は狭かったが店内は広く、カウンターとテーブル席があった。

Aくんが少し店内を見渡し、カウンター席の中にいる一人の人に笑顔で胸の辺りで手を振った。
その人がAくんに気付くとすぐにカウンターから出てきて、僕たちを店の奥のテーブル席に通してくれた。

席に座ると、Aくんはマティーニを頼み、僕も同じ物を頼んだ。
店内はさっきのレストランとは違い、真っ暗な店内を所々にある間接照明が照らし、ジャズ音楽がその雰囲気をさらに大人な空間として演出していた。
店内にはカウンターにカップルらしき人たちが一組いるだけで、他には店員以外は誰もいなかった。

しばらくすると、注文したマティーニと小皿に盛られたナッツが運ばれてきた。
ほんのりレモンのような香りのするマティーニは、間接照明で美しく輝いていた。

Aくんと乾杯した後にAくんがいった。

Aくん:ここも僕のお気に入りのバーなんだ。何かあった時とか一人でいたい時にたまに来る秘密の場所なんだ。
未来 :Aくんって素敵な店を沢山しってるんだね。
Aくん:そんな事ないよ、いく所がきまっているだけ。

Aくんは少し微笑んで、マティーニを少し飲んだ。
カクテルを飲む姿も優美で、その姿に少し見とれた。
そして、僕もそれを真似てマティーニを少し飲んだ。


Aくん:ねえ、さっきの話だけど


すこし言いづらそうに話をし始めた。
僕はAくんの気持ちを察して先に言葉を発した。

未来 :うん。もう僕はAくんの為に何か出来る事をするって決めたから、Aくんのすべてを僕に教えて。

酔いもまわっているせいか、さっきより気持ちは落ち着いていた。
Aくんも少し安心した様な顔で笑顔を向けた。

Aくん:わかった、僕のすべてを未来に話すね。
未来 :うん
Aくん:でも、後悔しない?

”後悔”の意味がその時は分からなかったが、僕は迷わず首を縦にふった。
Aくんは少し微笑んだ様な、何かを得た様な笑みを浮かべてカクテルに手を伸ばし、それを口に囲んだ。

そしてこれが、これから始まる事の最初の入り口だったと言う頃を、僕はまだ知らなかった。


つづく

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過去の記憶

店に到着すると、その店はAくんの顔見知りの店だったのか、店の店長らしき人がわざわざ厨房から出てきてAくんに挨拶をし、店の奥の特別席のような所に通された。

4人がけテーブル席に腰を下ろして、少し辺りを見渡す。
店の壁はレンガ風の壁で、壁には洋風の小さな絵が飾ってあり、所々に観葉植物がおいてあるオシャレなレストランと言う感じだった。
店内も落ち着いた雰囲気で、特に僕たちが通された席は店の奥の半個室のような席なので、他のお客さんとは目が合わず、ガラス張りの厨房で料理をしている店長ともう一人のシェフの人だけが見える様になっている。
実際こんなオシャレなお店に来るのは彼女との特別な日以外は来た事が無いと心に思った。

Aくん:素敵なレストランでしょ?ここ僕大好きなんだ。
未来 :うん、すごく素敵な店だね。

Aくんはまた笑顔で僕に微笑んだ。
同性なのに、その笑顔に何故か少しドキッとしたのを今でも覚えている。


注文を取りにきた店長に、Aくんは赤ワインのボトルと料理を頼んだ。
すぐに店長が赤ワインのボトルとグラスを2つ運んできて、2人のグラスにそれぞれワインを注ぐ。
僕はワインの味は正直あまり分からなかったが、そのワインは何故かすごく美味しく感じた。


料理が出てくると、Aくんが小皿に料理を食べ易い量で取り分けて僕にそれを渡した。
盛りつけ方もキレイで、きっと幼い頃からマナーを学んできた良い所の人なんだろうなとその時感じた。


Aくん:どお?美味しい?
未来 :うん、すごく美味しいね。


その言葉にまた笑顔で僕に微笑んだ。
食事を口に運ぶ姿も優雅で、何をやっても絵になると心で思った。


食事が一通り済んだ頃にはワインのボトルはもう空いていた。
もうすでにかなり酔いがまわっていたが、Aくんは何も言わずに別のワインボトルを注文した。

未来 :もう一本飲むの!?
Aくん:だって、せっかく未来に会えたんだもん、2人の出会いに乾杯しなきゃね!

無邪気な笑顔でワイングラスを片手に僕に微笑む。
その笑顔は本当に優しくて、心が暖まるような気持ちにさせた。


テーブルにはワインボトルと2人のワイングラスだけになり、食事も一段落した頃。


Aくん:ねえ、未来はなんであーいうチャットに来たの?

僕は以前からAくんに話をしていた彼女との失恋話や、同性であれば気持ちを理解してくれると思った事を話した。

Aくん:そうだったんだね、じゃあ実際には同性の人が好きだからとかそう言う訳じゃないんだ?
未来 :そうだね
Aくん:まったく興味ないの?
未来 :恋愛感情とかはまったく湧かないし、同性の裸体をみても淫猥な気持ちを感じる事もないよ。
Aくん:ふーん

Aくんは少し怪しんだ感じの笑みを浮かべて僕を見ていた。
さっきまでそんな話は一切せず、いつもチャットで話をするような映画とか本とかアニメとかの趣味の話で盛り上がっていたので、急な話の展開に少し戸惑いを感じていた。

Aくん:でも、僕と会う事になって、何か新しい事が始まるんじゃないかとか思わなかった?

僕はAくんの言っている意味が良く分からなかったが、その時はネットで出来た始めての友達と言う事だと思い、素直にその質問に頷いた。


Aくん:未来って、かわいいね


心臓の鼓動が一気にあがったのがわかった。
いままで生きてきた中で、この何とも言えない衝撃を感じた事はなかった。
照れている?恥ずかしい?嬉しい?よくわからなかったが、確かに鼓動が高鳴っていた。

Aくん:未来は僕が同性が好きだと思う?
未来 :ちがうの?
Aくん:うーん、厳密に言えば違うのかな
未来 :厳密に言えば?
Aくん:異性同士結婚するのは愛し合ってるからでしょ?そうではないと言う事かな。
未来 :じゃあどう言うの?
Aくん:うーん、難しいなwなんて説明すれば良いんだろう。
未来 :じゃあAくんは女性が好きなの?男性が好きなの?

ここでさっきまで笑顔だったAくんの笑顔が消え、急に悲しい様な、諦めた様な表情に変わった。

Aくん:変な言い方かもしれないけど、僕は選べなかったんだ
未来 :選べなかった?
Aくん:未来は普通に異性に恋をして失恋して傷ついて、そして色々な経緯を辿って、自分で選んで僕と出逢った。
未来 :うん
Aくん:でも、僕はそうじゃなかったって事

それを話したタイミングで、Aくんはグラスに半分以上入っていたワインを一気に飲み干し、さらにグラスにワインを注いだ。
Aくんが言っていた”選べなかった”と言う意味が僕にはよく理解できなかったが、Aくんの今までの明るい表情から一変した悲しい表情から、何か辛い思い出があったのではと推測した。

未来 :Aくんは僕の話を沢山聞いてくれたし、本当にAくんに感謝してる、だから僕が出来る事なら言ってほしいな
Aくん;本当に?
未来 :うん、もし話して少しでも楽になるなら嬉しいし、何か出来るのであればしてあげたい。
Aくん:ありがとう

Aくんの顔に少し笑顔が戻った気がした。
少し目が赤くなっていた気がしたが、それがワインによる酔いのせいなのかどうかは分からなかった。
そして、Aくんはまた少し寂しそうな顔をして俯きながら僕に言った。

Aくん:未来が僕の事を心配してくれるのは凄く嬉しいけど・・・
未来 :けど?
Aくん:話をしたらきっと未来は僕の事を軽蔑してしまうかもしれない、それは嫌なんだ。
未来 :そんな事ないよ、僕も彼女との失恋話で軽蔑される様な事沢山話したけど、Aくんはちゃんと聞いてくれたよ?
Aくん:・・・そうだけど
未来 :今日初めて会ったばかりだけど、僕はAくんの為ならなんでも協力するよ


その時、Aくんが真剣な顔で僕の顔をみた。
何か決心したような、そんな感じの目だった。


Aくん:未来はさ、家族の事が好き?
未来 :え?好きだけど、なんで?
Aくん:僕は、家族の事が嫌いだし、もう何年もあってないんだ。

家庭内の問題はデリケートな事が多いと思い、僕はAくんが口を開くのを待った。
そして、Aくんがグラスワインを飲み干して、新しいワインをグラスに注ぎ、一口飲んでからまた話し始めた。

Aくん:僕は日本人の母とフランス人の父の間に生まれたんだ

やっぱりハーフだったんだと思った。

Aくん:でも、僕が幼い頃に両親が離婚して、僕と弟は母親に引き取られたんだ。

彼の言葉から少し寂しさを感じた。
一番両親の愛を感じたい時期に彼は感じる事が出来なかったのだと思った。
外国人との結婚は文化の違いからか、結婚生活を始めてからの様々な考え方の違いから離婚率があがる事をどこかで聞いた気がした。

Aくん:そして、僕が小学校5年生の時に僕の母が日本人の人と再婚して、僕らは家族として一緒の家に住む事になったんだ。

僕は静かに頷いた。

Aくん:最初は嬉しかった、また父親が出来て、家も賑やかになって弟も喜んでいたし、新しいお義父さんも最初は優しい人だった。

ここの”最初は”という言葉にひっかかった。
すぐに頭をよぎったのは家庭内暴力やギャンブルにはまって家中が借金を抱えたなどの話だと勝手に推測した。

Aくん:しばらくしたある日の時、母親が仕事の関係で出張に出かけて、1週間いなかった時があったんだ。
未来 :お義父さんは?
Aくん:いたよ

少し嫌な予感がした。
母親の前では良いお義父さんでも、いなくなったときに急変すると言う話をどこかで聞いた事がある。

未来 :それで、どうしたの。
Aくん:いつも通りだったよ、僕らが学校から帰って来る頃にお義父さんも帰ってきて、僕と弟に夕飯を作ってくれた。
未来 :へぇー、良いお義父さんだね。

Aくんは何も言わなかった。

Aくん:夕飯が終わってテレビを一緒にみて、みんなで一緒にお風呂に入ろうと言われた。
未来 :うん
Aくん:一緒にお風呂に入って頭と身体も洗ってもらって、みんなで一緒にお風呂に入った。

よくある幸せな家庭だと思った。
さっきの僕の推測は思い違いだと思い始めた。

Aくん:お風呂から出て頭と身体を乾かしたら、もう寝る時間だった。
未来 :うん
Aくん:僕と弟はお義父さんにおやすみの挨拶をして、それぞれ自分達の部屋に行ってベットに入った。
未来 :うん
Aくん:そして、しばらくしたら僕は眠りについたんだ

何もない、本当に普通の幸せな家庭だと思った。
僕自身も小さい時は母が食事を作ってくれて、父と一緒にお風呂に入った記憶がある。


そして、また彼は語りだす。


Aくん:僕が眠りについた頃、急に手首と足首に痛みを感じて、同時に寒気を感じたんだ
未来 :?
Aくん:気がつくと僕は・・・

中々次の言葉がAくんから出てこなかった。
彼のワイングラスをもつ手はかすかに震えていた。
そして、声を絞り出す様に彼は言った。

Aくん:気がつくと僕は、裸で両手首を手錠でベットに固定されて、両股を開く形でベッドに紐で足を固定されてたんだ。

何を言っているのか良く分からなかった。

Aくん:そして、状況がよくわからないまま上を見ると、真っ暗の部屋の中にいたんだ
未来 :誰が?
Aくん:・・・・

急に表情が険しくなった。
そして、彼は言った。



Aくん:全裸で男根を盛り立たせて笑みを浮かべている義理の父親がそこにいたんだ。
未来 :え?どう言う事?


A:ぼくは・・・


”小学校5年生の頃から高校を卒業するまでの間、ずっと義理の父親に性的虐待を受けていたんだ”


まったく予想だにしなかった言葉が彼の口から語られた。
そして彼は、幼少期の頃に受けた虐待のすべてを僕に語りだした。



つづく

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はじまり

とある日の事。
僕は2年間付き合った彼女と別れ、悲しみにくれていた。

寂しさを紛らわすために友人からの慰め飲みの誘いをすべて受け、連日酒に溺れた。

「また良い出会いがあるよ」「結果として別れてよかったよ」「今度お前が好きそうな子紹介するよ」

友人の言葉は嬉しかったし、その時だけは悲しみを忘れる事は出来た。

でも、家に帰れば一人、忘れようとしても走馬灯の様に彼女との思い出が頭をよぎる。
初めて付き合った時の事、一緒に出かけた時の事、お互いを感じ合った時の事、誰もが経験する甘酸っぱい過去の思い出になる事も、その時の僕にはこの世の終わりに匹敵するほどの苦痛だった。



寂しくて切ない、考えない様にしてもやはり彼女の笑顔だけが目に浮かぶ。



そんな寂しさを紛らわせる為に、一人家でインターネットで話し相手を探した。

最初は普通の匿名チャットで数人とチャットで話をしていた。
自分が失恋した事をチャットに書き込み、皆僕に同情し、別れた原因や思い出話を聞いてくれた。
僕を肯定する人、否定する人、皆それぞれ考えがあったけど、誰が正しいとか間違っているとかではなく、ただ僕の話を聞いてくれていることが嬉しかった。

そんなチャットをいくつか渡り歩いている中で、一つのチャットに辿り着いた。


それは、同性愛の人たち専用のチャット。


自分自身は同性を恋愛対象としてみる事は一度もなければ、同性の裸体に淫猥な気持ちを感じる事もなく、自分の理解とは全く別次元の人たちだと思っていた。

ただその時は誰でも良いから話がしたかった。
寂しさを紛らわすためというのもあったけど、恋愛対象は違えど同性同士としての気持ちを理解して貰えると思った。
女性も同じ人間だけど、性別が違うと男性との根本的な価値観が違い、それを分かり合える事は出来ないと思っていた。


そんな気持ちで同性愛の方専用チャットに足を踏み入れた。
もう決して女性を愛さないとか、自分がその道に進もうとかを考えていた訳では一切なかった。


実際に話をしてみると、たまたまだったのかもしれないがすごく好感の持てる人たちでチャットが賑わっていた。
元々は異性が好きだったけどこちらの世界に来た人や、始めから同性が好きだった人とまちまちではあったが、同性者同士考え方で共感する事が多く、さらに日本では以前よりは良くなってきたとは言え、まだまだ同性愛に偏見がある世間からの冷たい眼差しに対する免疫からか、普通の人以上に広い視野で物事を考え、本質的で大人な考えを持っている様に感じた。

そしていつの間にか、僕はそのチャットで彼等と話をするのが楽しみになっていた。
気兼ねなく話をする事が出来、僕の辛い気持ちを理解し、その時聞きたい言葉を彼等は知っていた。
気がつけば彼等と話をする事は、毎日の日課になっていた。

そのチャットで毎日話をするうちに、一人の人と仲良くなった。
彼(以下Aくん)はいつもチャットがお開きになる頃に「一人で大丈夫?辛かったらもっと一緒にお話しよ」とつぶやき機能を使って僕を誘ってくれたり、毎日メールをくれたりした。

Aくんとのチャットは最初は僕の失恋話だったが、時間が経つにつれてそれも少しずつ減り、自分の事やAくんの事をはなし、趣味の話や将来の事など沢山の事を話した。

Aくんの事を知れば知る程、彼は良い人で純粋な人だった。
年齢も近く、いつの間にかお互いに何でも話せる仲になり、ネットと言うフィルタを通してもこんなに良い友達が出来るのだと自分でも驚いていた。
Aくんも同じ事を思っていたらしく、僕らは毎日メールをし、チャットで話した。


そんなある日の休日、いつもより早い時間にAくんとチャットで話をしていた時の事。


Aくん:今日って未来は何してるの?
未来 :何も、洗濯と掃除くらいかな。
Aくん:そうなんだ
未来 :なんで?
Aくん:・・・
未来 :・・・?




Aくん:もしよかったらさ、会わない?僕と
未来 :・・・え?


Aくんとは数ヶ月に渡って毎日チャットとメールで話をしていたけど、実際に会うと言う話になった事はなかった。
あくまでネットの世界での友達であり、いつの間にか現実とは全く別で考えていたのかもしれないとその時思ったが、Aくんはネットの世界の自分ではなく、実際の僕を本当に友達だと思ってくれていたのだとその時改めて感じた。


少し考えた後、僕は決心した。


未来 :そうだね、会おっか!
Aくん:ホントに!?うん会おう!!


お互いに近くに住んでいる事は知っていたが、具体的にどこに住んでいるかは知らなかった。
実際に会う事になり、自分達が住んでいる所から1時間以内に住んでいる事が分かり、何故か笑みがこぼれた。


気持ちの焦りからか、Aくんとの待ち合わせ場所に15分早く着いた。

まだAくんは到着していない。

待ち合わせ場所にはあまり人もおらず、Aくんは青い手提げバックを持っていると言っていたのですぐに分かるはずだった。
携帯電話の番号も会う約束をした時に交換したので、わからなければ電話が来るはず。

Aくんを待っている間、彼に会えるという嬉しさもあったが、今まで感じた事のない緊張感と不安感があった。
彼を待つ1分間が何時間にも思え、彼に会えて嬉しいはずなのに、何故か後悔の念もあった。

彼とはネットでしか話した事がない、顔を見た事もなければ声を聞いた事もない。


実際に会って嫌われてしまったらどうしよう。


そんな事を考えていたらまた一人で失恋の悲しみにくれる辛い日々が頭をよぎった。
彼が僕に何を期待しているのか全く分からない、全然イメージと違うかもしれない、明日からもう話してくれなくなるかもしれない。



また一人になりたくない、そう思っていたんだと思う。



時計をみたら、待ち合わせ予定時間を10分過ぎていた。
待たされる事は苦ではなかったが、変な不安を少し感じていた。
もしかしたら来てくれないんじゃないか、急に来れなくなったんじゃないか、色々頭をよぎった。




「未来?」




ハッと自分に気がつき、俯いていた頭をあげた。


そこには、約束通り青い手提げバックをもって、オシャレなカジュアル服を着た白くて細身のキレイな顔立ちの子が笑顔でこちらを見ていた。

身長は僕と同じくらい、カジュアルスーツとシャツを着て、濃い色のジーンズと革靴を履いていた。
髪は長めでオシャレにセットしてあり、少し茶色身がかっていて、一瞬ハーフ?と思える程すこし日本人離れした女性的な美しさのある人だった。


Aくん:ごめんね、準備に少し手間取って、電車も少し遅れてたから間に合わなかった・・・
未来 :ううん全然、初めましてだね。
Aくん:こちらこそ初めまして!やっと会えたね。


彼の笑顔はすごくステキだった。
第一印象は明るく、清潔感があって爽やかだった。
ジャニーズやビジュアル系などの中性的な人が好きな女性であればたまらないだろうなと思った。
カッコいいと言うよりも、美しいと言った方が彼には合っていた。

Aくん:じゃあ行こっか!僕ここから少し行った所に美味しいピザを出してくれるお店があっ
    て、そこに未来を連れて行きたいんだ。
未来 :うんいいよ、行こう!


彼は満面の笑顔でこっちだよと言わんばかりに手招きをし、僕はそれに少し笑いながら着いて行った。
待ち合わせ場所から7〜8分程歩いた所に、駅近くの人の多い繁華街とはうってかわって、裏道を入った静かな場所にそれはあった。

Aくん:ここのマルゲリータすごく美味しいんだよ!ワインも美味しいんだ!
未来 :楽しみだね!

その彼の無邪気なその笑顔は、彼が本当に僕と会えた事を嬉しく思ってくれていると素直に感じた。
さっきまで不安に思っていたのが嘘の様に消え去り、自分も彼と会えた事を喜んでいた。
チャットではAくんの声や表情は分からなかったけど、彼の話し方や笑顔を見て本当に彼だと思った。
チャットでの文字だけのコミュニケーションでも実際に会ってでも、彼だと分かる不思議な物を彼から感じた。
運命とかは信じないけど、これから起こる事のきっかけとなった彼との出逢に少し運命を感じた。



つづく

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まずは自己紹介

アクセス頂きありがとう御座います。

まずは簡単な自己紹介から。
性別は男性、20代後半の普通の一般人で、特に男性が好きとかの同性愛者ではなく、普通に女性に対して恋愛感情を抱くノンケ(だと思う・・・)。
一人称は「私・僕」、趣味はネットサーフィンと読書とアニメ。

このブログは、私がとあるきっかけから出逢った2人の同性の主人にそれぞれ2年ずつ奴隷として計4年間調教をうけた記録です。

ブログの目的は私が奴隷として受けた調教の日々と、その経緯を記録するものです。
様々な事があったので時系列ではありませんが、思い出しながら実際にあった事を書いていきます。

それでは、次回から私の奴隷になり調教を受ける事になったきっかけと、その生活日記を書いていきます。
文才がないので読みづらいかもしれませんが、これから宜しくお願いします。

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プロフィール

未来

Author:未来
性別:Male
種別:M奴隷(現在は主人がいないので過去形)
年齢:20代後半

とあるきっかけからこの世界を知ったのが始まり。
その後Webで知り合った人がきっかけで2人の主人から奴隷調教を受ける事になり、その主人等からそれぞれ2年ずつ奴隷になる為の調教を受けた4年間に渡る日記です。

【ご注意】
当ブログは同性者(男性同士)との性的行為に関する内容が多く含まれます。
異性間でのものではないので、同性間での性的行為に理解のない方はご遠慮ください。
何か質問や問合せ、ご要望などあればメールフォームからお願いします。

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